こんにちは、池鯉鮒です。
今回は「将来的な人間社会のパターン」です。
人間社会のパターンというと、ちょっと大げさかもしれません。
産業構造のパターン、仕事のパターンといったほうがよいかもしれません。
これは、簡単に言うと“今あるようなが職業が将来もずっと続いていくのか?”
といった内容の話です。
今はいろいろな職業があって、ほとんどの人がそれぞれの仕事に就いています。大きく分けると、農業・林業・漁業・鉱業などや、製造・加工業、サービス業です。それぞれ第一次産業、第二次産業、第三次産業と呼ばれています。
その中で、例えば今は林業が衰退してきています。
木材を扱っておられる方から直接お聞きした話ですが、日本の杉材は強度が弱いため、どうしても安くて強度のある外国産の杉材を使わざるを得ない、という状況だそうです。
これは、国内では間伐など樹木の世話をする人がいないため、植えられた樹木がそのまま手入れされない状態になっており、木材としての強度が出ないと言うことでした。ちゃんと世話をしないと、強い樹木は育たないということです。
そのため苦肉の策として、国産材を集成材として使用しているそうです。
芯の部分に国産材を使用し、それを米国産材で挟み込む形で接着して集成材とし、強度を満足する木材を製造しているとのことでした。日本の山にはたくさんの杉の木があって(花粉もたくさん出しているわけですが)、それを切り出して使えば多くの木材が得られると思っていましたが、そうではない場合も多いということです。
また、国内では樹木を切り出して運び出すのも多くの人件費がかかって割高になってしまい、価格的にも使うのが難しいということでした。
建築の分野では、“建築材料としての木材を見直そう”という動きがあります。木の家は柱や床、建具の部分など、直接触れたり裸足で歩いたりしてもとても感触がよく、私も好きです。ですので国産材の状況を聞いて、ちょっとショックを受けました。
国産材が価格的にきびしいというのは、(価格の面では)他の産業も同様ですから予想できますが、強度的に弱いというのは全く知りませんでした。私も国産を応援したい気持ちですが、安ければ外国産であっても、そちらに流されてしまいますね。価格競争という経済原理が働くからです。
林業だけではありません。工業製品もそうです。安い外国産が入ってくると価格競争に負けて、衰退してしまいますね。現在の液晶パネルがそうですね。液晶パネルは一時は“Made in Japan”が世界ブランドでした。「世界の〇〇モデル」という表現も今は昔です。韓国産や中国産の安い液晶パネルが入ってきて、国内の液晶産業は衰退しています。
しかし、外国製品も今でこそ安くできますが、将来的には世界的に均等に近づくと思います。それは発展途上国でも生活レベルが上がって来て、世界各国の貨幣価値が同じようになってくることが予想されるからです。そうなった場合には貨幣価値の差により製品を安く作るということができなくなってしまいます。将来的にずっと各国の貨幣価値に差がついた状態のままであるとは考えにくいですね。世界レベルで均一に近づいていくでしょう。
そうなると外国製品だから安くできるという、現在の仕組みは通用しなくなります。製品の優劣によって売れるか否かという、本来の技術力勝負という状況が展開します。
しかし、これは数年後というようなことではなく、もっとずっと先の話です。
ちょっと別な話になりましたが、もとに戻します。
ひと昔もふた昔も前になりますが、技術が進み工場がロボットの導入で自動化され始めた頃の話です。工場では従業員がロボットの導入に反対をします。なぜかというと、「私たちの仕事がなくなる。」「私たちの仕事を取るな。」というのが理由でした。技術が進んで自動化されると、人々の仕事がなくなってくるわけです。
比較的最近の話では、自動化ではありませんが技術の進歩によって同様なことが話題になりました。LED技術の進歩によって、LEDが信号機に採用され始めたときのことです。
従来の信号機は、白熱電球に赤、青、黄のカバーを付けた形式でした。
このタイプは、白熱電球ですから使用電力も大きく、また信号機に夕日が当たっているときなど、どの信号が点灯しているのか非常にわかりづらいという難点もありました。
それで、各自治体では省エネルギー施策のひとつとして、信号機のLED化に取り組んできて、町の中にある信号機はかなりLED化してきています。今では、街灯も結構LED化していますね。
LED化された信号機は、LEDの個々の球が1個1個つぶつぶに見えるので、すぐわかります(LED街灯はLEDの個々の球を見るとかなりまぶしいので、乳白色のカバーをつけてほしいなと個人的には思っていますが・・・)。
LEDは消費電力も小さく、寿命が40,000時間程度と格段に長いので、信号機をLED化すると、仮にずっと点灯していたとしても、4年半は持つという計算になります。しかもLEDは4年半経つと「ぷつっと」切れるわけではなく、寿命と言っているのは最初の明るさの70%に減ったときのことを言っていますので、まだまだ点灯し続けることができます。
しかし白熱電球の場合はそうはいきません。フィラメントを使っているため、それが文字通りぷつっと切れるとまったく点灯しなくなってしまいます。信号機が突然ぷつっと切れて点灯しなくなってしまうと非常に危険ですよね。交通事故や渋滞が発生してしまいます。
ですから白熱電球の場合は切れる前に十分な時間的余裕を見て、1年に1回という頻度で交換していたわけです。そうすると、1台の信号機について年1回の球の交換作業という仕事が発生し、年に3個の交換用白熱電球の需要が生じます。信号機はちょっと大きな交差点にはどこにでも付いていますから、日本国内だけでもこの交換作業は膨大な量になり、また白熱電球の大きな需要が発生していました。全国規模であるわけですからすごい量です。
警視庁のホームページでは平成17年度末現在で、全国の信号機は191,770基となっています。
それでやっと仕事の話です。
信号機がLED化することによって球の交換作業の頻度が格段に減ります。そうすると球の交換業務のためにそれほど多くの人数が必要なくなってきます。交換業務をやっていた人の仕事がなくなってしまうというわけです。
技術が進歩すると、このようなことがいろいろな分野や業種で発生します。
たとえば運送業などでもそれは起こり得ます。今はトラック等で人が荷物を運んでいます。
ところで自動車の自動運転システムはかなり進んできていますね。高級車では“ぶつからないシステム”が実用化して実際の自動車に搭載されています。これが進むと、無人の交通システムが実現します。
また自動車側だけでなく、道路側のシステムでも研究されていますので、将来は道路や自動車を含めた自動交通システムが出来てくるでしょう。そうすると運送業に携わる人は、少なくて済むのです。
先にも書きましたが、このようなことがいろいろな業種で発生します。
そうなると人々の多くは、何を仕事にすればよいのでしょうか?
システムを管理し、メンテナンスする少数の人は必要ですからその仕事は残りますが、関連する技術を身に付けた専門の人でないとその職には就けないでしょうし、少人数でいいわけですから何よりも競争が激烈になるでしょう。
なかなか職にありつけない状況は容易に予想できますよね。
さてどうなるんでしょうか?
ちょっと考えてみませんか?
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それではまた。
久留米工業大学
建築・設備工学科
池鯉鮒
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